朝日ソノラマ文庫第1作
さてさて、昨日ご紹介したのは、小学6年生のときに読んだ小説版・宇宙戦艦ヤマト(朝日ソノラマ文庫)のストーリーです。今回の映画化のキャストで説明しました。
この小説、ノヴェライズかと思って買ったら、紹介したとおり、全然ストーリーが違うんです。石津嵐作・豊田有恒原案となっておりまして、作者の石津氏は虫プロにいた人らしい。豊田有恒も虫プロで脚本を書いていたから、アニメーション仲間なんでしょうね。
ちょっと首をひねってしまう部分もあるのですが、大筋では面白く、第二次大戦のパロディみたいなアニメよりはSF色が濃い内容に仕上がっています。スターシアの正体なんかはSFの王道っぽいし、ガミラスの存在も『禁断の惑星』 のアイデアを思わせる。アニメ版が好きな友人にこのストーリーを話すと、なぜか嫌がられたなあ。
ソノラマ文庫には、なかなか良質な作品がありまして、福島正美の『地底怪生物マントラ』や、『黒の放射線』(中尾明)などが読みごたえがあった。とくに後者は、顔に黒あざができる奇病が蔓延する破滅モノで、私は子供の頃からホクロが多かったので、結構怖かった記憶がある。
一番好きだったのが、のちの東芝の創業者、田中久重の少年時代を描いた『からくり儀右衛門』。江戸末期を舞台に、火の消えない提灯、自動鐘つき機、絵絣を織る織機などを、次々に発明していく儀右衛門が痛快で(アイデアはイラスト入りで紹介される。これがまたいい)、どこまで本当か知らないけれど、ジュニア小説としては滅法面白かった。これはまだ本棚の奥にしまってあります。
このシリーズは学校の図書館にもよく並んでおり、図書室の隅の回転書架に入っていることが多かった。あれは現在のライトノベルにあたる読まれ方をされていたのかな。ちょっと違う気もするが。
少々日が経っちゃいましたが、ひさしぶりに宣伝。
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私の連載「建物探訪」 は、今回は巻頭でして、東京大学本郷キャンバスの戦前建築を紹介しています。取材のとき、腰が痛くて痛くて。
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