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2011/03/27

原発の作業員 その2

 
きのうの続きです、ぜひ、前回分よりお読みください。

 
 
「原子力の安全性について、あなたはどう思いますか」
 

喋り終え、聴衆の反応に満足して腰掛けていた講演者(原子力発電所の下請け会社社員)の顔に動揺が走った。今回の集まりで、その手の質問を受けることを想定していなかったのは明らかだった。「えーと」 マイクを受け取り、彼は半笑いで答えた。

「日本の原発は安全ですよ。事故は絶対に起こらないんです」

質問者は再びマイクを要求し、重ねて問いかけた。

「絶対に安全といっても、放射能の問題や…」

客席の人々の間に、白けた雰囲気が広がった。その日の多くの参加者が望んでいない問いかけだった。かみあわない質問と答えが何度かやりとりされたあと、議論を打ち切ろうとした講演者はマイクを手に叫んだのだ。

 
「大丈夫なんです! 私を信じて下さい!」


こういう人たちが、原発の現場を支えているのか。学生時代に見て衝撃を受けた樋口健二の原発写真集を思い出し、私は涙が出そうになった。
 
 
彼は自分の人生を露悪的に語っていたが、気弱そうなところ、少狡そうなところも含めて、ごくごく一般的な中年男性であり、明らかに善人だった。恐らく彼はいつもこの言葉で妻子の不安をおさえ、そして自分の心の平穏を保ってきたのだ。

 
「政治的な問題は、今回の集まりの趣旨とは異なりますので、質問はこれで終わらせていただきます」

司会者が事務的に宣言し、講演は終わった。その後はそれぞれのテーブルで、参加者が食事をしながら語り合ったのだけれど、何を話し、聞いたのかまったく記憶がない。

 
 

http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY201103260185.html?ref=reca
「東電、2号機の高放射線量を事前把握 作業員らに伝えず」(asahi.com 3/26)
 
 
 
原発の話は、次回ももう少し続けたいと思います。1980年代初頭に広瀬隆の著作に触れ、戦慄した苦い思い出です。同様の記憶をお持ちの40代の方も多いと思います。
 
「誰でも手に入る資料で」論をすすめ、立花隆を感心させた広瀬氏ですが、私はこの人物をどうしても尊敬できません。

 
次回に続きます。 

 
 

 
 
Dsc_8226
 
 

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