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2011/03/03

東武鉄道の大英断


朝一番に新聞を広げて、このニュースに驚倒いたしました。


http://www.asahi.com/travel/rail/news/TKY201103020540.html
スカイツリーの玄関口、レトロに模様替え 浅草駅ビル


屋上の遊園地は廃止、上階は閉鎖と、このところ不景気な話題しかない東武浅草駅(浅草松屋デパート)が、乾坤一擲の大勝負に出るようです。凄い。本気だろうか。


東武浅草駅ビルの現状。


1


何だかパッとしない建物に見えますが、これは満州事変の年、昭和6年(1931)完成の駅ビルなんです。昭和40年代に、老朽化した洋式建築の外装の上にアルミのパネルを貼ってしまったんですね。日本橋の東急(白木屋)の晩年も同じでした。

 
完成時の姿はこちら。すばらしい大建築です。

2


設計の久野節は、大阪の南海ビルディングも手がけている建築家。

奥のアーチが連続している部分が、東武線のプラットホームがある場所になります。ちなみに右上に見える鉄橋は現役。ビルを出た電車は、ものすごい急カーブをゆっくりと曲がって隅田川を渡ります。
写真右下に見えるへんな塔は雷門ビル(地下鉄ビル)といいまして、尖塔こそ失われていたものの、数年前まで健在でした。


この建物、実は方々にかつての痕跡を残しています。

3
 
ビル裏手の壁面。パネルを貼っていない部分はこんな感じです。

 
 
Dsc_0215_2
 
階段室と手すりの装飾。

 
4
 
踊り場にある怪しげな扉。

 
ほんとに復元できるのかいな、とちょっと心配になってしまうだが、実現したら名実ともに浅草のランドマークになると思われる。ものすごく楽しみである。現在、浅草駅前で往年の面影を保っているのは神谷バーと地下鉄の出入口くらいなのだ。

 
浅草という街は、懐かしの風物を売り物にしているわりには、戦前の見事な建築物を次々と破壊してきた歴史をもっている。国際劇場から始まって、六区の映画館(常盤座や東京倶楽部の素晴らしかったこと!)、仁丹塔、数々の看板建築、雷門ビルと、戦前の歓楽街の雰囲気を感じさせた名物建築が消えていき、訪問するたびに残念な思いをしてきたのである。川向こうの吾妻橋ビヤホールがうんこになってしまって久しいが、あれを見てももう何とも思わなくなっている自分がまた悲しい。

しかしまあ、改装していたとはいえ、下にオリジナルがあったからこういう計画ができるわけです。どうやら古い建物が本格的に商品になる時代がやってきたようだ。だって、丸の内では莫大なお金をかけて、明治時代の三菱一号館を再現してるんですよ。本物を壊したのに

三菱のプロジェクトを目前で見ながら、三信ビルを解体した三井不動産は、本当に失敗したと思うよ。あれは建物だけで人を呼べた物件だったのである。
 
 

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