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2010/02/01

エンタテインメントの佳作でした

 
矢口史靖監督の『ハッピーフライト』 (2008) をテレビで放映していたので鑑賞。

以前から観たかったのだが、この監督の『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』 に大きな疑問を感じていたので、ちょっと躊躇していたのである。面白いネタをどうしてこういうふうに料理するのかな、と。
 
意外や、本作はしっかり作りこんだいい群像劇だった。決して大作ではないものの、コメディタッチの日本映画では珍しく、エンディングまでダレることなく楽しめた。

 
(以下、少々ネタバレあります。ご注意。)
 

以前の矢口監督であれば、笹野高史のカツラネタや正露丸ネタをもっと引っ張るか、グロテスクに誇張して笑わせようとしたと思うんですよ。絶対。この人の作品は、笑いが万事小粒なことと、話の本筋から外れていることが、物語のカタルシスを大きく損なっていたのである。今回は俳優たちの真っ当な演技で笑わせていて、ストーリー上でほとんど浮いている部分がない。全日空の全面協力ということで、予定調和の内容にしかできないことが、かえって成功した要因なのかもしれない。

空港見学の子供たちを案内するシークエンスで、分かりづらい地上クルーの仕事ぶりを観客に説明するくだりに感心した。ストーリーを停滞させず、うまく後半への伏線を張ることに成功している。日本映画はこういうところを手抜きするか、字幕で処理することが多いのだ。

女優陣はみな健闘しており、なかでもグランドスタッフを演じる田畑智子が抜群にいい。彼女の恋の行方をくどくど描かないのにも好感がもてた。何でもすべて描写すればいいわけではないのである。ただ、本当は整備クルーの上司と若手の人間関係を、最後に上手くまとめるのがエンタテインメントとしては王道なんだけどね。

しかし、ANAはハッピーフライトで、JALは『沈まぬ太陽』と『クライマーズハイ』 では、さすがにJAL関係者がちょっと気の毒な気もします。
 
 

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