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2010/01/29

今さらポニョポニョ

 
ふと思い立って、近所のレンタルショップで宮崎駿の『崖の上のポニョ』(2008) を借りてきたのです。

 
何だ、これは。
 

いや驚いた。恐るべき映画である。毀誉褒貶の激しい作品だとは聞いていたが、これほどのものだとは思わなかった。怪奇幻想映画の王道をゆく内容であり、全編に漂う死の匂いは只事ではない。
 
「主人公の少年や母親に感情移入できない」「登場人物の描き方が希薄」 といった感想があるようですが、これ、感情移入どころの騒ぎではありません。でてくる人物がどいつもこいつも死…、いや、2月にテレビで放送するそうなので、これ以上は控えますが、とにかく恐ろしい作品です。
そもそもポニョという生き物も不気味だが、出てくる老人たちもみなどこか変だし、しゃあしゃあとディズニー風味で描かれた重要なキャラクターがまた気味悪く、登場シーンも実に怖い。何が観音様だよ。

私は保守的なほうなのか、かりにも子供映画を標榜するのであれば、夢と現実の境界線はある程度はっきりさせたほうがいいと考えるのである。かのヴィクトリア期イギリスの異常人、チャールズ・ドジスン先生だって、アリスをうつし世に連れ帰っているんですよ。ところが本作で宮崎氏は、もう最後までおかまいなしで突っ走ります。落語の途端落ちのようなエンディングがまた評判が悪いようですが、あれはあれでいいの、絶対。悪い夢からはパッと目覚めたほうがいい。

いろいろと書きましたが、実はこの映画、気に入ったんです。そもそもこの内容の企画をしゃらっと通してしまうことは、今や宮崎御大以外には絶対に不可能である。人間、頂点を極めると、好きなことができていいですな。体の調子がいいときに(注)じっくり再見したいと思っています。
 
余談ですが、わが国ではファンタジーという言葉を非常に曖昧に、かつ安易に使っていることを以前から危惧しております。小説であれ映画であれ、このカテゴリーに分類すると何でもありになってしまうんだよね。まあ、それはそれでこういう怪作が誕生する土壌にはなったわけですが。
 
 
注… この映画は、体調が悪いと全然読み進められない『ドグラ・マグラ』 のような作品なのでした。ただ小説と違い、映像の場合は漠然と見続けることができるからタチが悪いのである。鑑賞後、深層意識の中のある種のスイッチが入ってしまう人もいるのではないだろうか。
 
 
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