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2009/03/31

複製品を前にして考えたこと その1

 
自動車やバイクを趣味にしている方はお分かりだと思いますが、車やオートバイで、かつて発売されていた有名車種、歴史的名車と同一デザインの製品が発売されることがありますよね。その車両に憧れた人のほかにも、オリジナルを保有している人が面白がって購入する場合もあるようです。
このようなクルマは、一般にコピーとかレプリカとかよばれています。どんなにいい出来であっても、どこか物悲しさを感じてしまうのですが、オリジナルへの敬意と愛情が感じられるものも多く、一概に悪いものとは言えません。

 
コピー製品をめぐる、私の好きなエピソードをひとつ。

日本国内の道路を走っていた車両がトラックと二輪、そしてオート三輪ばかりだった昭和30年代前半、大東精機というオートバイメーカーがあった。この会社が造っていたDSKというバイクは、ボルトナット1つ、ネジ1本までBMWをコピーしたものだったそうである。BMWを買って分解し、すべてを同じものに仕上げようとしたのである。
冶金もプレスも金属加工も、戦前から続くドイツの高い工業技術にはとどかない。BMWのクローンのような外観をもつDSKだったが、決してBMWと同じ性能を出すことはできなかった。
しかし面白いことに、BMW社はこのコピー商品の輸出こそ認めなかったものの、国内販売をOKしているのである。技術力の格差を見て、ライバルにはなり得ないと判断したのだろう。馬鹿正直にBMWへ販売許可を求めた大東製機にも感心するが、自分たちの力を尽くしてコピーを造ろうとした職人たちの真摯さ、仕事ぶりは心を打つものがある。そこにはオリジナルへの敬意があると思うのだ。

 
コピーと似たような意味の言葉で、フェイクというのもありますね。私はこの言葉がコピーやレプリカとどこが違うのかと長い間考えていた。
複製品というのは、ファッションから美術品まであらゆる分野にみられるので、これらの言葉の使い方は人によってまったく異なるだろうし、何がいいか悪いかという判断はさらに難しい。以下の考えは私の個人的な使い分けなので、異論があってもご勘弁願います。
 
オリジナルへのリスペクトがないものが、フェイクなんじゃないかな。
 
国内の自動車メーカーがあいついで浮かれた車を販売していたバブルの頃、某メーカーがレトロなスタイルを売り物に、フランスの有名実用車によく似た車を販売したことがある。私は当時この車が心底嫌いだった。そりゃないんじゃない、と。
 
日本の自動車黎明期、国産各メーカーは海外の車のデザインをずいぶんと手本にしたし、真似もしてきた。それらがいいこととは思わないが、先に紹介したDSK同様、そこには先人へのチャレンジという側面があり、同時に工業中進国の悲哀もあったのである。世界の自動車業界の頂点に立って、何だって有名な外国車のデザインを頂くのかなと。
 

さてさて、今回はどうしてこんなことを書いているのかというとですね。

先日小学生の姪と2人で、お台場の船の科学館を見学してきたのです。
ゆりかもめを降りた新橋駅から東京駅までガード沿いに歩き、姪に銀座や有楽町の歴史を話していました。ここは大名が屋敷をたてていたところだよ、とか、山手線の走っている赤レンガの高架線は100年以上前につくったんだよ、とか、これが帝国ホテルっていうんだよ、とかね。

丸の内に入り、大名小路の交差点で思わず足をとめました。ああ、造ったんだ。本当に造ったんだ。

 
 
Dsc_2311
 
三菱1号館(複製)


次回に続きます。
 
 

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