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2008/02/09

眠れぬ一夜


明かりの消えた大部屋の片隅から、賭け花札に興じる小母さんたちの嬌声が響く。
 
金属製の大きな煙草皿を前にあぐらをかき、静かに紫煙をくゆらすジャンバー姿の男。薄暗い常夜灯の下で文庫本のページを繰る若い女。通路に山のように置かれた、炊飯器や電熱ポットなどの段ボール箱。どこからか漂ってくるバナナの香りが、唐辛子やニンニクの匂いと混じりあっている。薄いオレンジ色のカーペットに敷いた毛布の下からは、ディーゼルエンジンの痺れるような振動が絶え間なく響く。
傷だらけのガラス窓の向こうに、漆黒の闇の中に翻る旗がかすかに見える。私は免税店で買ったカートンを開け、ボックスのハイライトを取り出して火をつけた。玄海灘の寒風にはためく旗は日章旗だったか、それとも大極旗だったか。

1988年2月9日。21歳の私は、友人と国際フェリーの船内で一夜を過ごしていました。前夜に夜行列車で東京を出発し、下関港から韓国の釜山へと向かっていたのです。人生初の海外旅行であり、日程も行程を決めずに出た旅でした。

あれからちょうど20年、韓国も日本も、当然ながら私自身もずいぶん変わりました。


Untitled1

前夜の東京駅にて。


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