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2007/02/14

李香蘭

 
昨日に引き続き、映画の話です。

録画しておいた東宝映画、『東京の休日』(1958) を鑑賞。山口淑子女優生活20年、引退記念の映画である。

何だって突然こんな映画を放送するのかと思ったら、上戸彩主演の李香蘭伝記ドラマの前宣伝であった。まあビデオ化されていない作品だし、こんなことでもないと観られないので実にありがたい。
 
この作品はタイトルだけは知っていたが、東宝スター総出演のお祭り映画だったのですね。日本に久しぶりに帰国した服飾デザイナー(山口) と、さまざまな人々との交流を描く内容なのだが、上原謙、三船敏郎、池部良、加東大介、小林桂樹、宝田明、小泉博、八千草薫、扇千景、乙羽信子、司葉子、淡路恵子、草笛光子と、もう人気俳優が目白押し。ビンボ・ダナオまで出ていた。

中華料理屋の怪しげな店主を演じる森繁久弥はやっぱりいいし(かなり力を抜いているが、それでも相当におかしい。芸能人の葬式にあらわれて弔辞を読む森繁しか見たことのない若い人は、この人の喜劇をぜひ観るべきだと思います)、三木のり平と有島一郎は冒頭で小ネタを見せてくれるし、小林桂樹と加藤大介が登場する会社のシーンは社長シリーズそのままのノリだし、劇中劇風の舞台シーンは宮城まり子が子守唄を歌うし、越路吹雪は民謡を歌うし、日劇のダンサーも総出演だし、和服姿の原節子は美しく舞台に現れて挨拶するし、もうストーリなどどうでもよく、ただただ楽しんだ。
東宝のオールスター映画には、大ヒットした『日本誕生』(1959)のような大作もあるけれど、この映画のように肩の力の抜けた作品のほうが個人的には好みである。

きわめつけは終盤、柳屋金語楼につれられて登場する幼馴染役の三船敏郎。どんなかっこいい役どころかと思ったら、なぜか無法松の姿なのである。これには大笑いした。
 
監督は山本嘉次郎で、もちろん山口は「夜來香」 をはじめとする戦前のヒットナンバーを歌います。当時の観客は劇場で楽しかったんだろうな。
 
Photo
 
 
さて、上戸彩のドラマのほうは、少しだけ見ました。チャイナドレスも似合っていたし、熱演していたと思うが(注)、ドラマ自体はあまり感心しなかった。製作しているスタッフが、もはや時代劇と同様のつくりかたをしていることが画面の端々から感じられ、そのことが気になってしかたがなかったのである。考証を重視しない、イメージとしての戦前の姿とでも言えばいいのだろうか。当時を知る人々が次々と世を去っている現在、これがくり返されると、視聴者の感覚も鈍磨していくばかりである。時代劇と異なり、戦前の日本人の言葉の言い回しや所作は、記録映画などでまだまだ知ることができるのだが。

 
 
注…  彼女は元気のいい庶民の娘といった役どころのほうが似合っているように思います。『男はつらいよ』 シリーズがまだ続いていたとすれば、帝釈天商店街にある海苔屋の末っ子か何かで、柴又に帰った渥美清に参道で声をかけられ、おデコをからかわれたりする小娘の役とかね。
(むろん野暮ったい格好をしていなければいけません) 
 
そういえば、沢口靖子が李香蘭を演じたドラマもありましたね。あれは似合っていました。下手な台詞も大昔の映画女優の台詞回しを思わせ、なかなか楽しめた記憶があります。
 
 

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