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2007/02/20

空を見上げりゃ

 
名曲『おふくろさん』 の歌詞をめぐって、森進一と作詞者・川内康範がもめているらしい。ニュースを見ていたら、康範先生がずいぶん憤っていらっしゃるところが放送されていた。
失礼ながら、まだご健在だったのかと、立派な耳毛を眺めながら感心した。『月光仮面の唄』『死ね死ね団のテーマ』 の作詞であまりにも有名ですが、この方の経歴はなかなか面白いのだ。1960年代には『アサヒグラフ』誌上で、都会的な小説を書いていたりしました。
(興味のある人はWikipediaをご覧ください。リンクしようと思ったけれど、あそこ最近重いので)

NHKの歌番組に出た森進一、先生の歌を歌えず『冬のリヴィエラ』 を歌っていた。『北帰行』 とならぶ、大瀧詠一の傑作。
 
しかしこの人、顔をいじりすぎだなあ。妙にピカピカしているぞ。まずいことに、若人あきらに似てきちゃってるんだよね。別にシワがあったっていいと思うんだが。
 
 

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2007/02/19

いくら格安でも

 
http://www.asahi.com/national/update/0218/TKY200702180065.html
(asahi.com)
 
 
早朝から写真撮影をする必要がある取材などで、ときおり夜行の高速バスに乗る。バスはあまり好きではないが、夜行列車が激減してしまったので利用せざるを得ない。 
 
ただ、いわゆるツアー形式の格安バスは乗ったことがない。怖いのである。
 
夜がふけてくると、新宿西口や東京駅八重洲口のビル街にあらわれるバスの群れをご覧になったことがあるだろうか。どれも東京以外のナンバープレートがついていて、オフィスビルの横に臨時の窓口をつくり、係員が乗客を確認してから出発する。バスターミナルを使用していない(できない) のが特徴だ。

運賃の安さから人気を集めているようだが、正直言っておすすめしません。あれは規制緩和の鬼っ子のようなもので、国交省の厳しいチェックの上で認可をうけている、大手のバス会社やJRの夜行高速バスとはまったく異なるものである。

今回の事故の運転手は21歳だという。これは18で普通免許を取って、2年後にすぐ大型免許を所得したことになり、2種免許を手に入れてからほとんど実務経験がないのだ。大手のバス事業者ではあり得ないことである。ちなみに今回事故を起こしたバス会社は家族経営の小企業で、車両数こそ揃えているものの、バスとドライバーの数があまり変わらないらしい。つまりこの会社、ハイシーズンは長距離運転の交代要員がいないのであった。
 
格安ツアーバスは盆暮れを中心に数多く運行されている。どこも極端に安い運賃が売りにしているが、その値段を実現するために、必ず何かを犠牲にしているわけである。居住性だけなら我慢もできようが、おそらくそうではあるまい。
 
 

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2007/02/17

ニューモデル試乗

 
神保町の出版社で打ち合わせ。

国分寺から御茶ノ水までの往復で、はじめて中央線の新しい電車に乗った。なかなか乗り心地がいいし、車内も以前よりいくぶん広いようだ。車と同じで、やはり新車は独特な匂いがしますね。

中央線の電車も、ついにほかの路線と同じく銀色の無塗装になってしまった。JR東日本は、かつてない勢いで新車への交換を進めるらしいので、オレンジ色の中央線もまもなく見納めなのだろう。

以前も書いたが、子供の頃から橙の電車に慣れていたので、今度の新車にはかなり違和感がある。昔から混雑の激しい中央線は、通勤用の新型電車が開発されると真っ先に導入されてきた歴史をもっているが、新しい車両が入ってもいつも同じ色に塗られてきたのである。かれこれ40年近くあのカラーだったのですね。

今回の車両も、いちおう横にオレンジのラインを入れています。ケチケチしないで全部塗ってしてしまえばよかったのに。
 

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2007/02/16

求む男子、苦難の旅

 
近年、公立学校の図書費というのはどこも惨憺たる状況で、新刊図書の購入に苦労している。
私の勤めているいくつかの学校でも、とてつもなく古い本が書架に並んでいる図書室が多い。これは生徒には気の毒だが、実は本好きとしては意外と面白かったりするのである。

都下K市の、ある中学校。図書室で生徒に作業をさせながら書架を眺めていたら、冒険譚の名作が妙に充実しているのを発見した。フリッチョフ・ナンセンの『極北』(福音館日曜日文庫)、A.G.ホール『ナンセン伝』(岩波少年文庫)、モーリス・エルゾーグ『アンナプルナ登頂』(同) から始まって、トール・ハイエルダール『コンチキ号漂流記』(あかね書房)、70年代に主婦と生活社から刊行されていた、クストー海洋冒険シリーズといった古典的名作が数多く揃っている。ル・フェーブルの『中央アジア自動車横断』(白水社) がなにげなく並んでいたのには驚いた(注)
 
日本勢も定番の『太平洋ひとりぼっち』(堀江謙一)『極北に駆ける』(植村直己)『太平洋漂流実験50日』(斎藤実)、南極航海記(木崎甲子郎)などが並び、珍しいところでは、『松浪先生 アフガン秘境を行く』(大日本図書) なんてのもありました。本会議水ぶっかけ事件で話題になった松浪健四郎の若き日のアジア旅行記で、表紙のタイトル「松浪先生」 のところにちゃんと「ちょんまげせんせい」 とルビがふってある。ジュニア向けだが、意外にも(失礼) 好感のもてる内容であった。

文庫の棚に目を移すと、未読だったアルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮文庫) があるのを発見。たまらず借りてしまう。今世紀初頭、初の南極大陸横断に挑むが、途中で遭難することになったイギリス人探検家、アーネスト・シャクルトンの苦難の記録である。氷の海で17ヶ月におよぶ漂流を生き延び、乗組員28人はひとりも失われることなく生還するのだ。
あまりの面白さにあっという間に読了した。隊員たちのサバイバルストーリーも魅力的だったが、やはりカリスマ性と不屈の意思をもつシャクルトンという人物に心を惹かれた。
彼がロンドンの新聞に掲載したという隊員の募集広告はあまりにも有名である。このコピーを見て、五千人以上の志願者が殺到したという。


MEN WANTED for Hazardous Journey. Small wages, bitter cold, long months of complete darkness,constant danger, safe return doubtful. Honor and recognition in case of success.
――― Ernest Shackleton.

「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証なし。成功の暁には名誉と賞賛を得る」


本書の邦訳は遅く、1998年である。翻訳のきっかけになったのが、カムチャッカで亡くなった写真家・星野道夫氏の紹介であることをあとがきで知った。一読をおすすめします。

End

 
 
注… 1920年代から30年代にかけて実現した、特殊装備を備えた自動車による初めての大陸横断探検の記録。中央アジアではヒマラヤ越えにも挑んでいる。使用された車はフランスの自動車メーカー・シトロエン社のもので、そもそもこの探検自体、宣伝上手だった同社の社長、アンドレ・シトロエンによる発案である。学術探検でもあるというところがウリで、のちにアフリカ大陸への遠征もおこなっている。それぞれのキャラバンを「黄色い艦隊」「黒い艦隊」と名づけてしまうところが、まあ時代ですな。
 
古いシトロエンに乗っている物好きが身近にいたら、この話題を持ち出さないほうが無難。長話になる恐れがある。 
 

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2007/02/14

李香蘭

 
昨日に引き続き、映画の話です。

録画しておいた東宝映画、『東京の休日』(1958) を鑑賞。山口淑子女優生活20年、引退記念の映画である。

何だって突然こんな映画を放送するのかと思ったら、上戸彩主演の李香蘭伝記ドラマの前宣伝であった。まあビデオ化されていない作品だし、こんなことでもないと観られないので実にありがたい。
 
この作品はタイトルだけは知っていたが、東宝スター総出演のお祭り映画だったのですね。日本に久しぶりに帰国した服飾デザイナー(山口) と、さまざまな人々との交流を描く内容なのだが、上原謙、三船敏郎、池部良、加東大介、小林桂樹、宝田明、小泉博、八千草薫、扇千景、乙羽信子、司葉子、淡路恵子、草笛光子と、もう人気俳優が目白押し。ビンボ・ダナオまで出ていた。

中華料理屋の怪しげな店主を演じる森繁久弥はやっぱりいいし(かなり力を抜いているが、それでも相当におかしい。芸能人の葬式にあらわれて弔辞を読む森繁しか見たことのない若い人は、この人の喜劇をぜひ観るべきだと思います)、三木のり平と有島一郎は冒頭で小ネタを見せてくれるし、小林桂樹と加藤大介が登場する会社のシーンは社長シリーズそのままのノリだし、劇中劇風の舞台シーンは宮城まり子が子守唄を歌うし、越路吹雪は民謡を歌うし、日劇のダンサーも総出演だし、和服姿の原節子は美しく舞台に現れて挨拶するし、もうストーリなどどうでもよく、ただただ楽しんだ。
東宝のオールスター映画には、大ヒットした『日本誕生』(1959)のような大作もあるけれど、この映画のように肩の力の抜けた作品のほうが個人的には好みである。

きわめつけは終盤、柳屋金語楼につれられて登場する幼馴染役の三船敏郎。どんなかっこいい役どころかと思ったら、なぜか無法松の姿なのである。これには大笑いした。
 
監督は山本嘉次郎で、もちろん山口は「夜來香」 をはじめとする戦前のヒットナンバーを歌います。当時の観客は劇場で楽しかったんだろうな。
 
Photo
 
 
さて、上戸彩のドラマのほうは、少しだけ見ました。チャイナドレスも似合っていたし、熱演していたと思うが(注)、ドラマ自体はあまり感心しなかった。製作しているスタッフが、もはや時代劇と同様のつくりかたをしていることが画面の端々から感じられ、そのことが気になってしかたがなかったのである。考証を重視しない、イメージとしての戦前の姿とでも言えばいいのだろうか。当時を知る人々が次々と世を去っている現在、これがくり返されると、視聴者の感覚も鈍磨していくばかりである。時代劇と異なり、戦前の日本人の言葉の言い回しや所作は、記録映画などでまだまだ知ることができるのだが。

 
 
注…  彼女は元気のいい庶民の娘といった役どころのほうが似合っているように思います。『男はつらいよ』 シリーズがまだ続いていたとすれば、帝釈天商店街にある海苔屋の末っ子か何かで、柴又に帰った渥美清に参道で声をかけられ、おデコをからかわれたりする小娘の役とかね。
(むろん野暮ったい格好をしていなければいけません) 
 
そういえば、沢口靖子が李香蘭を演じたドラマもありましたね。あれは似合っていました。下手な台詞も大昔の映画女優の台詞回しを思わせ、なかなか楽しめた記憶があります。
 
 

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2007/02/13

君の瞳に

 
 
わが家のハードディスク・レコーダーがどうやら進化の過程にあるらしく、ドキュメンタリー番組や映画を勝手に録画するようになった。フロントパネルの赤いパイロットランプがときおり怪しげに光っているから、おそらくあれで新聞のテレビ欄を眺めている私を監視しているか、夫婦の会話の唇を読んでいるに違いない。そのうちチェスの相手をしてくれたり、玄関に鍵をかけて私たちを家から締め出したりするのだろう。恐ろしいことである。

というわけで、昨日は勝手に『カサブランカ』 を録画してくれたので、久しぶりに鑑賞した。その昔、レンタルビデオから8ミリビデオにコピーして保存していたのだが(注)、リマスターされた映像は初見。画面が実に美しいのに驚かされた。手持ちのテープの映像は非常に暗く、リックの店のシーンなど地下墓地の集会のようだったのだ。


カサブランカといえば、やはり例のセリフである。

“Here's looking at you, kid.”

「君の瞳に乾杯」

映画ファンなら知らぬ者のない名訳とされているが、30年近く前、NHKで字幕放映したときは(「世界名画劇場」だったかな)、翻訳が違っていたんですね。このセリフを、

『わが命…』 

としていたのである。ファンには不評だったようだけれど、この意訳も悪くないのではないかな。考えてみれば『君の瞳に…』 のほうが比較にならないほどクサい。みんな慣れてしまっているので、笑って観ていられますが。

このときの字幕製作者は、オリジナリティを出そうとけっこう頑張っていたようだ。現在流通しているビデオやDVDよりいいのではないかと思う字幕セリフを思い出したので、いくつか紹介します。

(ネタバレあります。ご注意!)

 
 
リックの店を訪れた若い亡命夫婦を、いかさまルーレットで勝たせてやる場面がある。感謝で言葉の出ない若妻への、ハンフリー・ボガートのセリフ。好きなシーンだ。

“He's just lucky guy.” 

「よかったね」

ボスのこの行動に感動したロシア人のバーテンダーが、リックに駆け寄ってきてキスをするシーンで、同じくボガートのセリフは、

“Go away, you crazy Russian! ” 

「仕事しろ」

前者は現在のDVDでは「幸運な男だ」 と直訳になっている。ストレートだが、あまり感心しない。「よかったね」 という突き放した物言いのほうが、ハンフリー・ボガートらしくハードボイルドでいいと思う。この映画のリックは全体的に女々しいので。
後者は「ロシア人め!」 である。ナチに蹂躙されたヨーロッパの情勢がわからないと、バーテンダーのロシア訛りの英語も生きないと思ったのだろう、NHKの旧訳ではこのへんを切り捨てていた。「仕事しろ」 も悪くはないと思うが、どうでしょうかね。

ラストシーン、クロード・レインズとボガートの有名な会話。ドイツ占領下のヴィシー政権で警察署長を勤めているレインズがナチを裏切り、ボガートを守ったあとのセリフである。

"Louis, I think this is the beginning of a beautiful friendship."

「やっと友達になれたようだ」
 
現在一般的な「ルイス、これが美しき友情の始まりだな」 という直訳もたしかに洒落ているけれど、私はより余韻の残るNHK旧訳のほうが好きだ。元のセリフの皮肉っぽさは薄れてはいるが。

 
みなさんはどう思いますか? 名作といわれる映画にはさまざまな字幕があることが多く、比較するのも面白いものだ。
  
Casablanca
 
 
注… 8ミリビデオに市販のビデオソフトをダビングしても、コピーガードがかからなかったのである。大きな声では言えないが、8ミリビデオの据置デッキを所持していた人の多くは、この用途に使用していたと思われる。ベータも同様であった。
(8ミリビデオというのは、要するに小型のベータマックスだったのです)
 
 

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2007/02/12

生協のウィスキー



先日入手した生協ブランドのウィスキーです。1.8リットルで、定価だと2000円ほど。

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このウィスキー、スコットランドから輸入したモルトに日本でグレーンアルコールをブレンドしているんですが、パッケージをよくみると東亜酒造の製品でした。地酒のほかに地ウィスキーも生産している、埼玉県の中堅酒造メーカーです。これは意外。
 
早速呑んでみました。少々カラメル味がきつい気がするけれど、まあまあですかね。カラメルをちゃんと添加物として記載してあるのがなんだか生協っぽく、好感がもてた。壽屋あたりの製品は、表示していないものも多いのだ。
私は安手のブレンディッド・ウィスキー愛好者なので、あんまり偉そうなことは言えませんが、ハイボールによさそう。
 
どうやら「ロイヤルコープ」 なる上級品や、ピュアモルトの製品もあるらしい。そのうち入手してみよう。
 
 
 
連休中に読みふけっていた山本周五郎の短編集を図書館に返しにいったら、瓜生卓造の名著『谷川岳-生と死の条件』(中公新書) があったので借りてくる。戦前から昭和40年代前半までの登山史をしるした本で、なかなか興味深かった。谷川岳は、70年ほどの間に800人近い遭難者を出している恐るべき山。これはエベレストの数倍、世界最悪の死者数なのだ。

実は先日、近くまで行ってきたのです。
 
 

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2007/02/10

戦いの曠野にて

仕事が早く終わったので、近所の生協に立ち寄った。混迷する21世紀の資本主義経済の中で、プロレタリアートの前衛たらんとする生活協同組合のマーケットは、わたくしのこよなく愛する場所のひとつである。

駐車場に車を乗り入れた時点で、すでに異様な雰囲気であった。午後も早い時間なのに、ほぼ満車状態なのである。車を降り、足早に店へむかう労働者たちは一様に無言だ。熱い連帯の挨拶を送ることもできず、わたくしは同志の列に加わり店へと向かった。店の入り口には一枚の張り紙が掲示されている。

「店舗改装のため在庫処分セール」

今日がセールの最終日らしく、商品のほぼ全品が半額というまさに革命的状況であった。入り口に常備されているはずのカートの姿はなく、籠もほとんど見当たらない。緊張が高まる。

広大な店内はすでに、東ベルリン封鎖を前にした市民のパニックのごとく、喧騒と混乱の極みにあった。カートに載せた2つの籠に商品を満載した人民で通路は塞がり、棚の商品はほとんど姿を消している。あちこちであがる怒号と悲鳴、空の棚を指差して若い店員に詰め寄る男、激突するカートとカートから発せられる金属音、踏まれる野菜屑、親を見失い彷徨する幼児。
加工食品売り場では、老獪な店員が「こちらは割引対象外です」 という張り紙の前に巧妙に立ち塞がり、つくりすぎたお惣菜をすすめている。大混雑のなかでバランスを崩し、棚に手をついて転ぶ小学生の前に崩れ落ちる、売れ残った江戸むらさきの瓶。両手に抱えたまぐろフレークの缶詰が実は猫缶であったことに気づき、レジの前で愕然と立ちつくす老婆。会計を待つ長い行列では、労働者たちがその顔に色濃い疲労と諦観を滲ませている。

わたくしは商品のすっかり消え去った酒の売り場に近づいた。一番下の棚の奥をふと見ると、おお、生協ウイスキーの紙パック1.8リットル詰がひとつ、奇跡的に売れ残っているではないか。わたくしは躊躇することなく手を伸ばした。
 
初めて手にすることのできた労働者の酒、カーム。これはスコットランドの生協連、そして酒造労働者たちとの連帯から生まれたウィスキーである。 Calm -静謐- という名は、組合員の投票により民主的に命名されたものだという。質実剛健、虚飾を廃した再生紙の紙パックには、鎌とハンマーのマークこそないものの、CCCP、いやCOOPの文字が誇らしげに印刷されている。

人民の友、革命的蒸留酒を手に、わたくしは幸せな気分で行列の最後尾についた。
 
 

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2007/02/09

都市伝説とファンタ論争

 
朝日新聞夕刊に「ネット上でひろがる都市伝説」 という記事が載っていた。ハンバーガー店の裏のゴミ箱に猫の首がたくさん捨てられていたとか、ピアスの穴をあけようとして、耳たぶから出てきた白い糸を抜いたら失明したとか、そういう類の噂話である。記事にはURBAN LEGENDという言葉の元祖となった、J.H.ブルンヴァンの『消えるヒッチハイカー』 も紹介されていて、なかなか懐かしかった。この本、大学時代に英語の教材として使ったんだよね。
ところで、ネット上で都市伝説が話題になると、必ず登場するものに「ファンタゴールデンアップル」 がある。30年ほど前に飲んだことがある、絶対にあったという人が続出するのだ。ちなみにコカコーラボトラーズは、70年代にはゴールデンアップルという銘柄を販売したことがないとコメントしている(注)

私が小学校のころの話なのだが、よく覚えております。

当時ファンタにはグレープとオレンジしかなかった。いったいどんな着色料を使っていたのだろう、今のファンタと異なり、絵の具を溶いたようなきついブドウ色とオレンジ色だった。信じられないかもしれないが、服にこぼすと洗濯しても色がとれなかったのである。まるで墨汁のようで、母親はこのジュースを買うことを嫌がっていた。
 
これが有害であると、消費者運動グループの槍玉にあがったらしいのだな。この問題を報じるテレビのニュースを今でも覚えている。画面に映し出されていた工場が、東久留米市にあったコカコーラ工場(今もあります) に似ていたのだ。

コカコーラボトラーズは急遽、天然色素のファンタを市場に投入した。これが「ゴールデングレープ」 である。過渡的な商品であり、オリジナルのファンタが天然色素を使うようになると、いつのまにか姿を消した。
私は瓶入りしか飲んだことはなかったが、絶対にアップルではないです。みんな「どうしてグレープだけで、オレンジは出ないのだろう?」 と疑問に思ったんだから。

このゴールデングレープというジュースは、薄いキツネ色というか、まあ金色に近い半透明でした。これがしばらくして発売されたファンタアップルと混同されたのだと思われる。色がほとんど同じだったからね。

あまり論争になるので、私は当時の新聞の縮刷版を徹底的に調べてみたことがある(暇だなあ)。
 
やっぱりなかったですよ、ゴールデンアップル。


注… 21世紀になってから、ゴールデンアップルという商品が発売されたので、若い世代の人は混同しているようだ。


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2007/02/07

将軍様の鉄道



知り合いのライターが夕方のニュース番組に出演していた。彼は海外の鉄道に強いトラベルライターで、1月末に出版された『将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情』(新潮社) の著者である。この本は、北朝鮮の鉄道路線や車両の歴史と現況を丹念に調査してまとめたもので、なんと彼が現地で撮影した映像のDVDまでついている。扱っている内容が内容だけに、鉄道ファンにとどまらず大きな反響をよんでいるらしい。


Kokubu_


本書の面白いところは、あの国をルポしたジャーナリストの作品に共通する、ある種の「必死さ」 さがまったく感じられないことである。著者当人の飄々とした性格もあるのだろうが、苦心して取材しました、すごいでしょ、という北朝鮮モノにありがちな押しつけがましいところがないのだ。ごく普通に旅をして、当たり前に写真を撮ってきたような印象を受けるのである。
鉄道雑誌のグラビアを思わせる鮮明な写真に驚かされるが、付録のDVDの映像なども「世界の車窓から」 のように美しく屈託がない。かなり前から下準備と資料集めをしていたことは知っているので、内容の濃い本になるとは思っていたけれど、よくまあトラブルなく取材できたものだ。

ニュースを見たあとに電話で著者と話をした。TVや新聞・雑誌から、いまだかつてない取材攻勢をうけているという。海外の鉄道旅行が好きな人、北朝鮮に興味のある人は、ぜひ書店でご覧ください。


 
 

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2007/02/06

DVDのレンタル

 
オンラインのDVDレンタルというのがある。ネットで申し込むと、DVDを2枚セットにして郵送してくるサービスだ。送料は往復無料、延滞料はなしというのが売りらしい。
サイトをみると、前から観たかった加藤泰の『沓掛時次郎 遊侠一匹』(1966) があるようなので、仮会員になってみた。この映画、近所のレンタルショップに置いていないのである。

観たい映画をサイトの一覧からリストアップしておくと、返却された順に発送するしくみになっているのだが、私の希望作品がみんな貸し出し中らしく、「借りにくい」の表示がでているばかり。みんな旧作なんだけどな。ときどき「借りやすい」の表示に変わっていることもあるが、始終サイトをチェックしているわけにもいかないし、困ったものだ。
 
ちなみに他にリストアップしたのは、

内田吐夢の宮本武蔵シリーズ
(1本も借りられず。シリーズものは仮会員中は無理でした。『一乗寺の決闘』 だけでも久しぶりに観たかったんだけど)
 
東映の列車シリーズ
(同上。たぶん借りっぱなしの人がいるのだ)

など。

まもなく2週間の無料お試し期間が終わるが、沓掛時次郎はいまだ観られず。継続しようか思案中である。
 
 

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2007/02/05

午前1時の密やかな楽しみ

 
 
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酒販店で大安売りしていたので購入。
当然ながら、サラダ用ではございません。
 
 
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しかし、ゴードンの瓶は格好悪くなったなあ。

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気持ちだけ。

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箸でがちゃがちゃと50回ばかりステアします。
 
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ぽとり。

 
うまー。

 
オリーブがなかったので、代わりに塩を一振りしたりしてたんだけど、
やっぱり全然違います。
 
ゴードンがなくなったら、007号の真似をしてウォッカマティニにしてみよう。


 

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2007/02/01

恋の丸ビルあの窓あたり

 
10年ほど前、東京駅前の丸ビル建て替えが話題になったことがある。実家に帰った私は母に提案した。

「取り壊し前に一度見にいかない? 車を出すよ」

結婚前、私の母はこのビルの一階にあるレコード店で働いていた。銀座の老舗、十字屋が店舗を置いていたのである。現在の十字屋は貸しホールのようになってしまったが、もとはレコードや楽譜、楽器販売の会社だった。ちなみにフジテレビのアナウンサーだった中村江里子は、ここのオーナーの娘である。
 
「うーん、別にいいわ。もう知っている人もいないし」 母は答えた。

調律師稼業のかたわら、有楽町のフードセンターでピアノを売っていた父にも声をかけてみた。父はテレビの前に正座して、どこからか引っ張り出してきた初代ファミコンに熱中している。

「丸ビルにはしょっちゅう出入りしてたんでしょ。壊しちゃうんだよ」

「いいの」 ボンバーマンをあやつりながら、父はあっさりと答えた。
 
「過去は振り返らないの」
 
 
丸ビル取り壊し反対のシンポジウムなんぞに参加し、妙な感傷を抱いていたのは息子だけなのでした。
 
 
 
さて、『荷風!』(日本文芸社) 最新号が発売になりました。

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今号は東京駅と丸の内・八重洲の大特集です。わたくしは東京駅・赤レンガ駅舎の歴史を振り返るページを担当したほか、「一丁ロンドンの今を歩く」 と題して、丸の内界隈の歴史探訪をおこなっております。父母が若かりし頃に過ごしていた場所をあらためて歩くのは、なかなか感慨深いものがありました。
 
そうそう、秋山真志さんが執筆している「丸ビル今昔往来」 のページでは、なんとわが母が往時を語っております。広岡家、親子競演です。(大げさ)

書店で見かけましたら、ぜひお求め下さい。
 
 

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