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2006/12/27

京都名所案内

 
 
「というわけで京都に行ったんだけど、京都の名所といえば、なんといっても駅前のタワーです。今回も見にいきました」

「えっ、京都タワーですか」

「君、馬鹿にしてはいけないよ。あの塔はモダニズムで名高い建築家・山田守(注1)晩年の名作だ。私は過去数十回、京に上るときは必ず京都タワーに足を運んできた」

「あそこで何をするんです」

「まず地下三階にある風呂屋に行く。ここは大荷物の旅行客のことを考えてロッカーは広いし、サウナも完備している。銭湯よりかなり割高なんだけど、駅前の観光案内所でいつも割引券を配っているので、これを使えば150円引きの600円で入浴できる」

「何だか観光豆知識みたいになってきましたね」

「冬場なんか急に外に出たら湯冷めするだろ。風呂から上がったら、暇つぶしに館内のみやげ物屋をくまなくチェックするんだよ。よくもまあこんな、と感嘆するほどあほらしい、もとい、心楽しいみやげ物があふれ返っている。京都みやげといったって、実は江戸川区や台東区あたりの町工場で作ってるものも多いらしいけどね」

「何か買うんですか」

「ううん。何も買わない」

「買ってあげればいいのに」

「中学生が持ってるようなジッポライターもどきとか、安っぽい十手とか、ご当地キティだとか、頭をたたくと『日本の夜明けぜよ!』 なんて叫ぶ龍馬君人形なんか欲しいかい」

「みうらじゅんの言うところの、いやげ物ってやつですか。そういえばみうら先生、最近隠し子が発覚しましたが」

「あの人、不倫相手のミュージシャンを、『きみは文殊菩薩のように美しい』 と口説いたらしいね。それはさておき、今回は非常に残念なことがひとつあった。3階だか4階だかのワンフロアが、100円ショップのダイソーになっていたんだ。旧態依然たるみやげ物が売れなくなっているのはわかるけれど、かりにも千年の都・大京都の駅前にダイソーはないだろう。武蔵小金井の西友じゃあるまいし、これは到底許されることではありませんよ」
 
「まあ落ち着いてください。でも久しぶりに面白いものがあったとか」

「さすがに客足の減少に危機感をもったのかね、京都タワーのキャラクターグッズをつくって売っていたよ。玄関脇に専用売店まで設ける念の入れようだったけど、これがなぜか私のツボにはまったんだな。恥ずかしながら、絵はがきと携帯ストラップなんぞを買ってしまった。たわわちゃんというそうだ(注2)。クリックすると拡大するから、じっくり見るように」
 
 
T1


「うーん、何だかなあ」

「そうかい。マキシスカートがかわいいじゃないか。こちらの絵はがきも見てほしい」
 
T2_2

 
「歌でも歌ってるんですかね。よくみると後ろのタワーから京都市内に、なにか強い電波のようなものが放射されているのが気になるんですが」

「京都タワーは電波塔ではない筈だけどね。しかしこのイラスト、目がチカチカするな」

 
 
「ところで京都タワーって、展望台からの眺めはどうなんです」

「うーん、よく考えてみたら、展望台に上ったことは一度もないな。入場料高いし。あれは見上げてひとしきり文句を垂れるのがいいんだよ」

「名建築家の作品じゃなかったんですか」

「それはまた別の問題でね」
 
 
 

 
 
T3


 
注1…  山田守(1894-1966) 分離派建築会の鬼才にして、日本のモダニズム運動の先駆者。パラボラアーチを連ねた伝説的傑作・東京中央電信局(1925・現存しない)は、彼が31歳のときの作品である。山田の描いた大胆な放物線は、今も御茶ノ水の聖橋(1927)で目にすることができる。

注2…  開業40周年の記念マスコットなんですと。12月15日には東京に来たらしい。
      http://kyotoroadtower.seesaa.net/
 
 
 
 

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