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2006/12/29

ドーム見納め

 
 
当たり前にあったものが、いつの間にか消えてゆく寂しさ。
 
 
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東京駅のドームです。

年明けから本格的な改装工事に入り、大正時代の開業当時の姿に戻ります。
楽しみではありますが、いつも見上げていたこの丸い天井はもう見られなくなってしまうんですよ。

丸の内も変わりましたね。よもやショッピングの女性が闊歩する街になるとは思わなかった。三井不動産の三信ビル解体と有楽町再開発は、三菱地所が丸の内のテコ入れに成功していることへの焦りもあるんだろうな。人の流れもずいぶん変わったし。
(しかし三信ビルをつぶすかね)

次号の『荷風!』(日本文芸社) は、丸の内界隈の特集です。 旧丸ビルで働いていた私の母も取材に協力しております。子供の頃から思い出深い場所なので、取材も感慨ひとしおでありました。

 
 



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2006/12/28

これ、また欲しいんだけど

 
 
京都の話を書いていて思い出したが、その昔、観光地のみやげ物に万年カレンダーの置物というのがあった。地球儀型をした、こういうやつ。覚えのある方も多いのではないだろうか。
 
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15cm×7㎝くらいの黒い台の右側に、このカレンダーが載っていて、左側にはプラスティックでつくられた観光スポットの模型(金メッキの東京タワーとか楠正成像とか) が飾られていた。『努力』『信念』 なんてスローガンが掲げられた小さなプレートが真ん中に据えられているものもあり、上級品(というのかね) には温度計つきの筆立てがついていた記憶がある。
 
このカレンダー、手前にくるくる回していくと日付が替わっていくわけだが、31日まで回すと、数字が書かれた窓の部分に、なぜか英語で

「月を変えろ」
「曜日を変えろ」

という表示が出て、もう一度回すと1日に戻るのかと思いきや、最後に

「ゆっくり回せ」(TURN SLOWLY)

というお節介な指示が出た。

 
10年程前に通天閣の売店で買ったのが最後で、その後はすっかり目にすることがなくなった。結婚して引っ越すときに捨ててしまったのでもう一度手に入れたいと思い、京都タワーのみやげ物屋で訊ねたら、「あらあ、懐かしいどすなあ。そんなんありましたなあ」 と言われてしまいました。店員同士で、「あれや、あれ、回すやつ」「ひゃあ、懐かしい」 などと勝手に盛り上がっている。

カレンダーの日付を替えるときの、カシャッ、カシャッという音が心地よかったんだよね。あれ、どこでつくっていたのかな。
 
 
 

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2006/12/27

京都名所案内

 
 
「というわけで京都に行ったんだけど、京都の名所といえば、なんといっても駅前のタワーです。今回も見にいきました」

「えっ、京都タワーですか」

「君、馬鹿にしてはいけないよ。あの塔はモダニズムで名高い建築家・山田守(注1)晩年の名作だ。私は過去数十回、京に上るときは必ず京都タワーに足を運んできた」

「あそこで何をするんです」

「まず地下三階にある風呂屋に行く。ここは大荷物の旅行客のことを考えてロッカーは広いし、サウナも完備している。銭湯よりかなり割高なんだけど、駅前の観光案内所でいつも割引券を配っているので、これを使えば150円引きの600円で入浴できる」

「何だか観光豆知識みたいになってきましたね」

「冬場なんか急に外に出たら湯冷めするだろ。風呂から上がったら、暇つぶしに館内のみやげ物屋をくまなくチェックするんだよ。よくもまあこんな、と感嘆するほどあほらしい、もとい、心楽しいみやげ物があふれ返っている。京都みやげといったって、実は江戸川区や台東区あたりの町工場で作ってるものも多いらしいけどね」

「何か買うんですか」

「ううん。何も買わない」

「買ってあげればいいのに」

「中学生が持ってるようなジッポライターもどきとか、安っぽい十手とか、ご当地キティだとか、頭をたたくと『日本の夜明けぜよ!』 なんて叫ぶ龍馬君人形なんか欲しいかい」

「みうらじゅんの言うところの、いやげ物ってやつですか。そういえばみうら先生、最近隠し子が発覚しましたが」

「あの人、不倫相手のミュージシャンを、『きみは文殊菩薩のように美しい』 と口説いたらしいね。それはさておき、今回は非常に残念なことがひとつあった。3階だか4階だかのワンフロアが、100円ショップのダイソーになっていたんだ。旧態依然たるみやげ物が売れなくなっているのはわかるけれど、かりにも千年の都・大京都の駅前にダイソーはないだろう。武蔵小金井の西友じゃあるまいし、これは到底許されることではありませんよ」
 
「まあ落ち着いてください。でも久しぶりに面白いものがあったとか」

「さすがに客足の減少に危機感をもったのかね、京都タワーのキャラクターグッズをつくって売っていたよ。玄関脇に専用売店まで設ける念の入れようだったけど、これがなぜか私のツボにはまったんだな。恥ずかしながら、絵はがきと携帯ストラップなんぞを買ってしまった。たわわちゃんというそうだ(注2)。クリックすると拡大するから、じっくり見るように」
 
 
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「うーん、何だかなあ」

「そうかい。マキシスカートがかわいいじゃないか。こちらの絵はがきも見てほしい」
 
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「歌でも歌ってるんですかね。よくみると後ろのタワーから京都市内に、なにか強い電波のようなものが放射されているのが気になるんですが」

「京都タワーは電波塔ではない筈だけどね。しかしこのイラスト、目がチカチカするな」

 
 
「ところで京都タワーって、展望台からの眺めはどうなんです」

「うーん、よく考えてみたら、展望台に上ったことは一度もないな。入場料高いし。あれは見上げてひとしきり文句を垂れるのがいいんだよ」

「名建築家の作品じゃなかったんですか」

「それはまた別の問題でね」
 
 
 

 
 
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注1…  山田守(1894-1966) 分離派建築会の鬼才にして、日本のモダニズム運動の先駆者。パラボラアーチを連ねた伝説的傑作・東京中央電信局(1925・現存しない)は、彼が31歳のときの作品である。山田の描いた大胆な放物線は、今も御茶ノ水の聖橋(1927)で目にすることができる。

注2…  開業40周年の記念マスコットなんですと。12月15日には東京に来たらしい。
      http://kyotoroadtower.seesaa.net/
 
 
 
 

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2006/12/26

祈ってみた

「おやおや、お久しぶりですね」

「ちょっと出かけておりました。もっとも、ブログを更新していなかったのは単に面倒臭かっただけなんだけど」

「どちらへいらっしゃったんですか」

「願かけ。家内安全・商売繁盛・健康祈願を祈ってきたの」

「あれ、意外と信心深いんですねえ。お寺ですか、神社ですか」

「ここなんだけど」
 
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「ずいぶんと静かそうな参道ですね。どこの神社でしょう」

「山科陵」

「は?」

「天智天皇のお墓。京都の山科にある」

「天智天皇って、あの、歴史の教科書に出てくる。ええと、中大兄皇子でしたっけ」

「そうそう。ここは御廟野(ごびょうの)古墳ともいう」

「古墳って、願かけにいくものなんですか?」

「お寺や神社で願い事をするのもいいんだけどね、天皇陵って人がほとんどいなくて気持ちいいし、何より賽銭代がかからないんだよな。ついつい欲しくなるお守りや御札も売ってないしさ。大きくてありがたそうなものは、何だって拝んでいいんだよ。日本人は」

「なんだかケチくさいですねえ。そのために交通費をかけてわざわざ京都まで」

「東京にも武蔵野陵っていう陵墓があるけど、昭和天皇の墓に願かけってのもなんだか妙なもんだろ」

「たしか武蔵野陵のとなりは、お父さんの大正天皇のお墓でしたよね。大正天皇に願かけというのなら、なかなかアバンギャルドでいいかもしれませんね」

「多摩陵ね。もっとも、大正天皇は原武史さんの本でずいぶんイメージが変わったから、子煩悩な人はお参りしてもいいんじゃないかな。でも武蔵野陵や多摩陵は八王子だから、うちからじゃ旅行になりゃしないよ」

「単に旅行に行きたかっただけじゃないんですか」

「いやいや。願かけ、願かけ。きわめて真摯な気持ちで参拝しましたよ」

「ほんとかなあ」

(つづく)
 
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