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2006/03/22

交通博物館がなくなる日 その2

20年ぶりの交通博物館。
 
年末の忙しい時期に訪問したのは理由があった。年が明けると混雑するし、展示物も整理しはじめるという話だったのだ。
小学校以来と思っていたけれど、よく考えたら二十歳前に一度来ていた。浪人生の私は予備校をさぼって、関東一円の博物館・美術館を回っていたのである。目前に迫った入試から目をそらすことに懸命だったのだが、のちに美術品や文化財に興味をもつきっかけとなったわけで、今思えばいい経験をした。親には言えないが。

はじめて館内の写真を撮ってみました。鉄道ファンの方には申し訳ないですが、電車にはあまり興味がなくなってしまったので、鉄道以外のものばかりです。
(写真はクリックすると拡大します)

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いきなりドアであります。よく磨かれた真鍮金具がきれい。この建物は昭和11(1936)年築で、戦前のビルらしくこのような古い造作があちこちに残っています。私はこんなところばかり見ているんです。


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博物館の建物のシンボルとなっている階段室。ずいぶん前にアルミサッシになってしまいましたが、竣工当時流行していたインターナショナルスタイルを取り入れた、明るくモダンなデザインです。この建物のある場所が、旧万世橋駅だったというのはもう有名ですね。現在その遺構を特別公開しています。


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古い博物館を訪問すると、こういうものにしびれてしまいます。素ん晴らしい展示ケース。「東京・神田・萬世橋」 というのが泣かせるじゃありませんか。閉館後はどうなってしまうんだろう。


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階段の脇に飾られた絵画。残念ながら、ほとんどの見学者は見向きもしない。日本画家の松宮左京が1935年に描いた作品である。画面右奥に松住町の鉄橋が見える。
ここ須田町のガードは、戦前は絵ハガキになるくらい有名だったのです。しかしガード下の絵というのも今では珍しいんじゃないか。おまけに日本画である。
そういえばここには以前、戦前に描かれた「東京駅八重洲口の想像図」 の油絵も飾ってあったのだが、いつのまにかお蔵入りしてしまった。
(交通博物館は、けっこう絵画を所蔵しているのである)


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くるりと山を回って急勾配を登ってゆく、ループ線の模型。子供図鑑にも写真が出ていた由緒ある代物である。この模型はおそらく40年は展示しているだろう。


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日本の誇る軽自動車、スバル360です。小さい小さい。実はこれ、初期のタイプの中でも車体番号がもっとも若い車体である。ファンには国宝級のクルマ。
この車が博物館に収蔵されたのは私が6年生のころだった。大事にしていたオーナーの人が寄贈し、新聞にも載った。よくみるとあちこち壊れてパーツが盗まれている。ひどいよ。

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ラビットの宿敵、三菱のシルバーピジョン。1950~60年代のスクーター戦争は富士重工と三菱の対決だったが、ウサギとハトの戦いだったのである。和式便器のようなスタイルのラビットも捨てがたいが、私はランブレッタっぽいピジョンが好み。赤白ツートンが素敵です。


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日ペリ(日本ヘリコプター)の機体。何十年ここに吊るされているんだろう。
 
航空会社には2レターコードというのがあります。「NW501」といったように、便名の頭につく2文字のアルファベットですね。日本航空はJL、ユナイテッド航空はUAです。全日空はなぜかNHなんですが、これはこの会社の前身が日本ヘリコプターだからなのです。子供のころ、ここの学芸員さんから教えてもらいました(注)
 
注…  ついでに言うと、管制塔からのコールサインというのもなかなか面白いのである。日航はJAPAN AIR、全日空はALL NIPPONと、基本的に会社名を想起させる呼称になっているのだが、どういうわけか例外もあって、チャイナ・エアラインはDINASITYという。これは「王朝」という意味だから、中国の航空会社にふさわしいコールサインに思える。そしてきわめつけは英国航空。BOACという会社名だったころから、伝統的にSPEEDBIRDとよぶルールなのだ。なんだか威勢がよくて気にいっているので、以前から私のブログのアドレスに借用している。 


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この通勤電車のカットモデルは実物大。車掌と同じようにドアを操作して開閉できるという、子供心をくすぐるギミックである。大昔からある展示で、シミュレーターなどなかったころは子供たちにもっとも人気があった。
懐かしくて近寄ってみたら、何とドアのところに透明のアクリル板が貼ってあるではないですか。これにはあきれた。
昔は自由に出入りできたのだ。友達をはさむのが面白かったのに。

 
まじめな話をすると、交通博物館に収蔵されている鉄道関係以外の展示物がどうなるのか、非常に危惧しているのである。鉄道関係の史料や車両は新しくできる博物館に運ぶのだろうが、航空、船舶の展示物はどうするのだろう。とくに船舶模型は、その船の竣工時に船会社に寄贈される精密なもので、素晴らしいものが多いのだ。


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昭和11年(1936)に竣工した関釜連絡船、金剛丸の80分の1模型。大戦中、連合軍が日本海にばら撒いた機雷原を生き延び、戦後は復員船として活躍したが、朝鮮戦争中に座礁、解体された。当時の水準を越える豪華船だったという。
 

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横浜にある日本郵船の博物館あたりが引き取ってくれればいいのだが、あそこも狭いんだよね。展示品の引越し先が決ったら、ぜひ公表してほしいものである。
 
博物館がつぶれて収蔵品が散逸してしまうんじゃ、文化国家とは言えないよ。

  
最後にちょっとお知らせです。まもなく発表になると思うが、旧万世橋ホーム(交通博物館の上の線路)でイベントがおこなわれるらしい。なんでも懐かしい鉄道車両を展示するという話である。中央線の電車から見えるのかな。

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コメント

はじめまして、こんにちは^^
小さい頃、交通博物館よく連れて行ってもらいました~。
息子が電車好きなので大きくなったら…と思っていたらなくなるニュースで、とっても残念です。泣。
なくなる前にもう一度行きたいなぁ…。

でも、さいたま市に新しく交通博物館ができるそうで、そちらに展示物は移転になるという噂を聞きましたよ~。

投稿: はま。 | 2006/03/24 22:52

はま。さん、こんにちは。

交通博物館、毎日混雑しているようですよ。
鉄道関係の展示物はさいたまに移すみたいなんですが、
その他のものの行く先は未定なんだそうです。
どうなるんでしょうねえ。

投稿: ユウユウ | 2006/04/04 23:41

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