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2006/03/20

ネバーランド

ご当人が華々しく夜空に散ることはないようで。

http://cnn.co.jp/showbiz/CNN200603180002.html


マイケル・ジャクソンがカリフォルニアにこの施設を造ったとき、まず連想したのが江戸川乱歩の傑作『パノラマ島奇談』 であった。巨万の富を費やして自分の理想郷を建設するというところと、その夢の世界が何とも子供っぽい点が、この小説の主人公・人見広介そっくりなのである。そしてその破綻っぷりもまったく同じ。

ネバーランドを「私設ディズニーランド」 と揶揄する向きもあるけれど、よく考えればマイケルもウォルト・ディズニーも、本質的な部分はまったく変わらないのだ。この二人が異なっているのは、世の良識と妥協できるという社会性の有無と政治力なわけで、そこで評価が天と地ほど違ってしまうというのが面白い。妥協しつつも、一般大衆をおのれの夢の中へ引き込んでしまったディズニー氏の「豪腕の妄想力」 には恐れ入るばかりである。これは常人のなしうることではない。マイケルの妄想が弱々しく開陳されているネバーランドのほうが、私には興味深いけれどね。

乱歩の『パノラマ島奇談』 は忘れられない小説だ。
小学生のころ、父親が通勤の行き帰りに電車の中で読むために買っていた文庫本を、片っぱしから読破していたことがある。なかでも夢中になったのは、乱歩と山田風太郎、筒井康隆であった。息子が読んでいることに気づいた父親は、教育上悪いと思ったのか、戸棚の奥やオーディオラックの片隅に、しまいには三面鏡の引出しにこれらの本を隠すようになった。
(かわいいですね。考えてみれば、あのころの父は今の私と変わらぬ年なのだ)

私はどこに隠されても絶対に諦めず、必ず探し出しては続きを読んだ。
 
11・2才のときに、『パノラマ島奇談』や『押絵と旅する男』、『孤島の鬼』『盲獣』に出会えたことは、その後の人格形成に何がしかの影響を与えたような気がします。父には本当に感謝している。こまった親だ。


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東京・銀座の青木画廊で開かれている「石塚公昭展」に足を運びました。石塚氏は、実在の文豪やジャズミュージシャンをモデルに精巧な人形を造る作家です。今開かれている個展は氏の作品の中でも「江戸川乱歩」テーマにしたものを展示していました。 今年になって“乱歩”と出会った乱歩初心者である私は、読み始めてまもない頃に、「乱歩」というキーワードで書店を徘徊していた時に氏の作品集を発見しました。それは、どこかユーモアを交えながら独特の�... [続きを読む]

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