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2005/09/28

ふくろうの本 その3

えー、「死霊が戸を叩く」 というお話です。

北海道夕張のある小学校で、大正時代に起きたという出来事。
学校の宿直室に当直の教員が詰めていると、夜半過ぎに部屋の戸を叩く者がいる。こんな夜更けに誰が、と思って確認するのだが、廊下に人影はない。しばらくすると再びコツコツと戸を叩く音が聞こえる。
毎夜毎夜繰り返されるノックの音に、宿直勤務を嫌がる者が続出する。そのとき、一人の先生があるアイデアを思いつき、同僚とともに実行するのである。

深夜、いつものように扉を叩く音が聞こえる。先生は大声で扉に向かって訊ねるのだ。

「扉を叩く者に申し上げる。あなたは幽霊か、妖怪か、あるいは狐狸の類か。幽霊なら2回、妖怪なら3回、狐狸なら4回、扉を叩きなさい」
 
しばしの沈黙の後、戸を2回叩く音が響く。

「あなた方は何人ですか。人数分、戸を叩いて下さい」 と問うと、3回のノックが返ってくる。こうして問答が続き、廊下にいる何者かが、炭坑労働で命を落としたタコ部屋労働者であることを知る。

「あなたがたは、経文を唱えてほしいのではありませんか。もしそうであれば50回、戸を叩いてください」 

最後にこう訊ねると、戸を破らんばかりの勢いで50回のノックが返される。

先生たちは法要を営むことを約束し、実際に僧が呼ばれて供養をすると、それ以後この怪異は消えたという。そして、この学校の校庭からのちに3個の頭蓋骨が発掘されたということが後日談として付け加えられる。

うろ覚えなので概略ですが、大正時代に北海タイムス(北海道の地方紙。平成10年廃刊)の紙面を飾った事件で、「幽霊問答」 として大きな話題になったそうな。
『わたしは幽霊を見た』 に収録されているいくつかの怪異譚のなかで、この話だけがおどろおどろしくなく、話がきれいに(?) まとまっていて面白かった。
小学生のころは、まだ「タコ部屋」 というものがどういうものか分からなかったが、図書館でいろいろ調べているうちに、北海道開拓の暗部が分かってきて興奮したものだ。そして、そこらの怪談話より数段恐ろしい、常紋トンネル(注)の事件を知ることになるのである。


注 常紋トンネル…  JR石北本線の金華・生田原間に設けられた、500mほどの古いトンネル。明治末期の建設の際、多数のタコ部屋労働者が使役され、リンチや虐待により百数十人の犠牲者が出たという。このトンネルは昔から幽霊の噂が絶えず、長らく人柱の存在が噂されていたが、1968年の十勝沖地震で内壁が崩れ落ち、コンクリートの壁面から人骨が発見された。その頭蓋骨には、生前にかなりの暴行が加えられた跡が残っていた。見せしめのため、瀕死のまま壁に塗りこまれた可能性もあるらしい。

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