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2005/04/03

海野十三の怪作

久しぶりにHPを更新しました。PHOTO&ESSAY 「卒業生への読書案内」 です。
よろしければご覧ください。

http://homepage3.nifty.com/speedbird911/home.htm


X1さて、前回予告したポプラ社の本ですが、これなんですね。最近、唐沢俊一がこの作品について雑誌のコラムで詳しく解説してしまったそうで、正直少々へこんでおるのですが、ご紹介したいと思います。この本は小学生の頃、従兄から譲ってもらったもの。

少年探偵団やホームズ・ルパンのシリーズを発刊する前、ポプラ社は「名探偵シリーズ」 と銘打ち、乱歩や横溝正史、そしてこの海野十三などの長編を、15冊にまとめたシリーズを出していた。この『超人間X号』 は、マッドサイエンティスト物のSFホラーであり、そこに少年探偵がからむという欲張った構成のお話。表紙のじいさんが人造生物・超人間X号を創造する谷博士。本篇の主人公だ。
博士が創造した生命体は、「電臓」 とよばれる臓器を中心とする人工細胞で、博士はこれに雷の高電圧を加えて命を与えようとする。(戦前のフランケンシュタイン映画みたいですな) そして雷撃で大破した研究所から、覚醒したX号は脱出し、さまざまな悪事を働くのである。


さて、このX号ですが、何と他人の頭を切り開いて自分の脳と交換し、次々とボディスナッチを繰り返すのですね。追ってきた警官の脳を少女の頭に移植してしまうシーンもあって、この過程がメチャクチャで実に面白いのだが、よくよく考えれば子供向きの小説にしてはかなりグロテスクであった。最初に手に入れる体は死刑囚のもので、死刑執行のシーンが丁寧に描写されていたりするのだ。
最後に博士は手助けする少年たちとともに宇宙ロケットに乗り、サハラ砂漠の上空で、原子爆弾によってX号と雌雄を決する。なんとまあ、実にてんこ盛りの内容である。

これは昭和26年の作品だそうだ。矛盾は多々あれど、子供の頃は夢中で読んだ。ただ、よく分からなかったのが、X号の誕生のシーンであった。壊れた研究所に散らばっている金属を細工し、その中に入ってとりあえずロボットの形になったという設定なのだが、内臓状態のX号がどうやって動けたのかということである。

最後にロボットに化けたX号の姿を紹介しましょう。この本は現在ネット上で読むことができるが、挿絵がないと魅力半減なのです。画家は山内秀一。

X2
研究所を脱出するX号の勇姿。公園の護美箱ではない。

うーん、頭のアンテナはいらんのではないかと思う。しかしこの手で脳移植の手術をするのは苦労したろうな。
 


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コメント

こちらの表紙と挿絵も、レアというかブリキっ!っていうか、味わい深いですねーw
版権切れ無料書籍の「青空文庫」に、海野十三の短編がけっこうあるんです。
この X号の話もありました。
ただ、別バージョンなのかアイデアのみ版なのか、雷で生命を得る以外は違ってたような記憶があります。

投稿: hilow | 2005/04/12 01:30

青空文庫、私も見てみました。差別用語を手直ししていたようですが(もしかしたら原典がポプラ社版ではないのかも)、内容は同じようでしたよ。

しかし、何とも牧歌的なロボットですよね(笑)。

投稿: ユウユウ | 2005/04/12 14:27

 僕も海野十三は大好きな小説家です。また、『超人間X号』は大好きな作品です。今現在、日本での彼の評価は低くく、非常に入手困難な書籍が多いですが、再認識する必要があると思います。特に彼の科学に対する知識は当時でも相当な物だと考えられます。
『金属人間』や『地球発狂事件』など、彼のSFは名作揃いですよね。(まあ、一部の人のみ『名作』という意味で・・・)
手塚治虫、藤子不二雄など少年時代に彼の作品に影響を受けた事を告白していますし、松本零士の『宇宙戦艦ヤマト』の沖田十三は海野十三からとったそうです。もっとも、松本零士の場合、海野十三の軍記物の方が好きだったのかも・・・
私のブログには『超人間X号』や『金属人間』をモデルしたロボットや探偵の4コマ漫画を掲載しています。よければ、是非、お越し下さい。

投稿: TenQ(鳥啼天駆) | 2005/05/10 09:00

TenQ(鳥啼天駆) さんこんにちは。よろしくお願いいたします。

なーるほど、ヤマトの艦長の名は海野十三からですか。松本零士ということで、なんとなく納得できる気がしますね。
私はそれほど海野作品に触れてきたわけではないのですが、『浮かぶ飛行島』 を覆刻版の文庫本で、『振動魔』 を探偵小説アンソロジーか何かで読みました。『飛行島』 は実におもしろいですね。
そのうち『地球盗難』 あたりを読んでみたいと思っています。

投稿: ユウユウ | 2005/05/11 22:01

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受信: 2005/05/10 08:41

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