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2005/03/07

ローレライ雑感

映画が公開されましたね。
原作者の福井晴敏氏はファンも多いようで、否定的な感想を述べるのはどうも気がひけるのだが、どうしても書かずにはいられない。過去、あまたの傑作に接してきた冒険小説ファンの方々に問いたいのです。わたくしはあなたがたの同志であります。

彼の小説は面白いのでしょうか。

長くなりそうなので、まず私のHPに以前書いた文章を再掲します。

福井晴敏『川の深さは』(講談社)読了。
『亡国のイージス』『終戦のローレライ』と、ことし代表作が続けて映画化される人気作家の初期長編である。本作を読んで、『亡国のイージス』を読み終えた時に感じた違和感が何だったのかはっきり理解できた。私はこの作家はダメだ。

「事件に翻弄されるなかで、主人公が失った何かを取り戻す」 

という、冒険小説の王道をゆくストーリーである。しかし、主人公が他の人物に感情移入していく描写がどうにも薄っぺらいので、彼が命を賭けて戦う必然性が感じられないのである。この部分こそがこの手の小説の一番の読みどころであり、作家の力量がわかる部分だと思うのだが、作者は登場人物の表層的な言葉のやりとりだけでアクションシーンにつないでゆく。あれで心から信頼しあえるとは到底思えず、後半の派手な活劇にものめりこむことができなかった。叫び、走る主人公が白々しく思えてしまうのだ。ストーリーの進行と冗長な状況説明がかみ合っていないのも気になった。

なんというか、この人の作品は今まで読んできた冒険小説と、全く匂いが違う。本質的な部分、物語を組み立てるベースとなっているものが、明らかにアニメーションやコミックなんだな。この人が『ガンダム』のノベライズを手がけているということ知って納得したのだが、アクションシーンのスピード感や描写はアニメ作品を思わせる。こういう作家はこれからも増えるだろうし、この手の作品が人気を博するのも時代の流れなのだろう。

さて、本題の『終戦のローレライ』 については次回。

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コメント

トラックバックありがとうございました。
この人については期待が大きかっただけにちょっとなぁ……という気持ちです。もう少し読んでみるつもりですが。
あと、漢字が多すぎるのも読む気をそがれますね。たとえばヒロオカさんは上述で「わたくしはあなたがたの同志であります」など、意図的にひらがなを使っている部分が多々あります。福井氏ならここを、何も考えずに「私は貴方方の同志」とやりそうな印象を受けました。

投稿: tresgatos | 2005/03/20 18:06

tresgatosさんこんにちは。
 
おっしゃるとおり、少々文章が硬い気がしますね。分量が多いものだから、やはり気になりました。
かなり否定的なことを書きましたが、描写がよくて感心した部分もあるのです。
若い作家なので、次作に期待したいと思っています。

投稿: ユウユウ | 2005/03/20 21:28

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