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2005/03/29

怪人二十面相ふたたび

新聞にポプラ社の全面広告が出ていて驚いた。乱歩の少年探偵団シリーズとルパンシリーズが、新しく文庫版で出るらしい。ポプラ社のこのシリーズは、もう何度も何度も読んだものだ。小学生の頃は二十面相はおもに男の子が、ルパンは女の子が読んでいたという記憶がある。

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怪人二十面相です。

あれっ、表紙と挿絵がモダンになっちゃってるんですね。悪くはないけど、どうもイメージが違います。だいたい二十面相って、老人やらコックやらいろんな姿に化けるけど、こんな格好してたかな。これは変装というより扮装だなあ。

 
 

cちなみにこれが旧版で、カバーと挿絵は柳瀬茂。小林少年が仏像に化けています。

少年探偵団シリーズは40冊近く手元にあったのだが、結婚したときに処分してしまった。この本はシリーズ一作目ということで、押入れの天袋にとっておいたのだ。天袋を開けるたびに落ちてくるので、今回すぐに用意することができました。

やはりこっちのほうがいいや。

旧版は学校の図書室などで借りたことのある人が多いのではないだろうか。いまでも図書館ではよく見かけるが、たいてい読み倒されて薄汚れている。それがまた怪しげでいいんだけどね。このシリーズに関しては、きれいな本を読んだ覚えがない。
裏表紙は、立ひざをしてトランシーバーをかまえる小林君の姿。背表紙のタイトル下には、鉄仮面というか、甲冑の頭の部分が描かれている。思い出しませんか? 
(ちなみにここの絵は数回変更されているので、何を覚えているかで年代が分かります。鉄仮面の前は蜘蛛のイラストで、最後は黄金仮面みたいな人物になる)

子供の頃、シリーズ中に出てくる東京の地名に興味をもち、二十面相が出没する場所を地図で調べたりしていた。当時はよく理解していなかったのだが、『怪人二十面相』『少年探偵団』などが書かれたのは1930年代後半。戦前の小説なのだ。
(『青銅の魔人』が昭和24年で、戦後初の作品。明智小五郎が二十面相に「きみも戦争中はさすがにおとなしくしていたようだね」 なんていうシーンがある)
あのころの私のイメージでは、麻布はコンクリート塀が連なるさびしい屋敷町で、(当然お屋敷は洋館。必ず書生がいる) 戸山は広大な原っぱで、銀座はクラシックなビルディングと宝石店が立ち並ぶ、車通りの少ない静かな街である。小説に登場する40年前の風景が、都心に行けば現実にあるものだと思っていた。
銀座を静かな町とイメージしているのはよく考えると変なのだが、二十面相は泥棒なので、作品の中で描かれるのは真夜中のシーンが多かったのだ。人で溢れる銀座の歩行者天国をはじめてテレビで見たときは、かなりショックを受けたものだ。
今の子供たちは、このシリーズの時代背景をどのように認識しているのだろうか。

戦後は宇宙怪人やら巨大かぶとむしやら電人やら、わけのわからないものに化けるようになってしまった二十面相だが、このシリーズは後半に、乱歩の一般小説をジュニア向けにリライトした作品群があって、これがまた実におどろおどろしくて面白かった。こちらはもう再刊しないようですね。
 

ああ、忘れていた。ポプラ社といえば、もう一冊面白い本を持っていたんだった。次回紹介したいと思います。

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コメント

こんにちは、TBから来ましたhilowです。
うわあ、旧版の怪人二十面相の表紙、すごいものを見せていただきました (^-^)
一気に小学校の図書館の匂いまで甦ってきてしまいました。

投稿: hilow | 2005/04/12 01:19

hilowさんはじめまして。

おっしゃるとおり、小学校の図書館のイメージですよね。かび臭くて薄暗かった母校の図書室を思い出します。
この本のほかにも、『青銅の魔人』(こ、こわい)、『海底の魔術師』(こちらはなんか爽やか) の表紙が気に入っています。

投稿: ユウユウ | 2005/04/12 14:35

怪人二十面相、大ファンでした!!!
全巻読みました!

よく出てくる地名で印象に残っているのは、「東京都世田谷区」や「東京都杉並区」の「閑静な住宅街」。
そして、そこを怪しい人物が歩いているのです。
でも、次の瞬間には消えているのです。
(大抵マンホールなどの中に隠れているか、変装によってまったく姿を変えているか・・・。)

大きなお屋敷に書生、これはお決まりでしたね!
その書生が怪しいことが多々ありましたね。

二十面相、懐かしくて、つい嬉しくなってしまいました!

投稿: しづ | 2005/10/14 00:37

しづ様

「ここは世田谷のさびしい屋敷町です」 なんていう書き出しが印象的でした。

お金持ちの家の少年が(たいてい少年探偵団員だったような)、夕暮れの街を歩いていると、怪しい老人やピエロを目撃するというプロローグが多かった気がします。懐かしいですね。

投稿: ユウユウ | 2005/10/15 23:11

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