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2004/11/12

耳嚢・耳袋

根岸鎮衛の『耳嚢』(岩波文庫版)を読む。江戸時代後期の有名なエッセイで、著者は江戸町奉行の役職にあった人。話を幾分カットしてある平凡社ライブラリー版はもっていたが、岩波の上下巻を読んだのは初めてだった。むかし呉智英が自著で紹介していた、「盲人かたり事致す事」 のエピソードが面白い。こんな話である。

武士が数人連れ添って歩いていると、向こうから手紙を手にした盲人がやってくる。男は武士に声をかけ、実は郷里からきた手紙なのだが、自分は目が見えないのでお読み頂けないかと頼む。武士は手紙をとり、声を上げて読んでやる。

「かねて頼まれていたお金、やっと手配できました。半両ばかりお送りします」

男は頭を下げて礼をいい、武士に言うのだ。 「それではお金をお渡し下さい」

金など入っていないと武士は弁解するが、男は承知しない。
目が見えないと思って騙し取るつもりか、と騒ぐ。やむなく武士たちは屋敷に帰り、金を用意して男に与えるのである。

まあ詐欺の話なのだけれど、江戸幕府の政策も窺えてなかなか興味深い。
(幕府は盲人保護にかなり力を入れていて、盲人を騙す行為は罰せられた)

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