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2004/10/26

芙蓉部隊

通勤の車中で、渡辺祥二『彗星夜襲隊』(光人社NF文庫)を読む。第2次大戦末期、軍上層部の特攻命令を拒絶し、あくまで正攻法の戦いを続けた海軍航空部隊の話。

指揮官・美濃部少佐は有能な人材をあつめ、きわめて合理的な(今から考えれば当然ともいえる) 部隊運営をすすめる。パイロットたちは、高性能だが故障の多い飛行機を駆使して、次々と戦果をあげてゆくのである。彼らが活躍すればするほど、体当たり攻撃に固執した軍中央への無言の批判となるのが皮肉である。
800人近いパイロットと整備員を指揮したこの美濃部少佐という人は、当時29才なのだ。彼は特攻作戦に反対する理由の一つとして、「年若い搭乗員だけを特攻隊員に選び、指令、副長、飛行隊長といった部隊幹部を用員から除いた」 ことをあげている。
特攻に参加しない方針を部下たちに告げると、隊の雰囲気は実に明るくなったという。

著者は昭和25年生まれの航空史研究家で、航空関係の戦争体験者に対する綿密な取材には定評がある。何冊か著作を読んだが、特攻攻撃を送り出した人間の非道と無責任さを必ず指摘している点に好感がもてる。

彼らの多くは戦後も生き残り、天寿を全うしているのだ。


suisei

「彗星」は二人乗りの小型爆撃機。メルセデスベンツのパテントを買い、国産化したエンジンを積んでいた。当時の日本の技術力では工業国ドイツのテクノロジーを咀嚼しきれず、故障続出だったらしい。工作技術や冶金技術など、基本的な工業力が劣っていた中進国・日本の悲哀である。輸入したボッシュのインジェクションがそのまま使われていた機は、実に調子がよかったという。

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